サブカル聖地ツアー!
専門学校日本マンガ芸術学院で東京研修の計画を立てるとき、生徒さんたちをどこへ連れていくか。毎年の悩みの種です。業界を知ることができるところが良いのか。それとも創作の刺激や楽しんでいい思い出になることを優先したほうが良いのか。いろいろ考えます。
そんな中、ある年に「サブカル聖地ツアー」をやったことがありました。東京におけるサブカル……中でもアニメ・漫画趣味の三大聖地、つまり「中野ブロードウェイ」「池袋乙女ロード」「秋葉原」を巡ってみようじゃないか、というツアーですね。私が案内していろいろウンチクを傾けてから「あとは自由行動でいいよ」と一時解散をする流れでした。
なんのためにいくのか
まず、どうしてアニメ・漫画趣味の聖地を東京研修で訪れる気になったかを説明しましょう。やっぱり小説クリエイトコースの生徒さんたちはアニメ・漫画趣味の持ち主が非常に多いので、単純に訪れて楽しい、買い物ができて嬉しい、というのが一つ。
そしてもう一つ、サブカルの聖地、つまり「アニメ・漫画好きな若者向けの品物やサービスを提供する店が集まった場所というのはどういう歴史で生まれ、それがどんなふうに今の街に影響を与えているのか」を知ると、世界設定や描写の助けになるからです。このような話は実際に授業でもするのですが(電車の駅は意外と都市の中心部にはなかったりする、それは……みたいな話もします)、生徒さんたちが興味のある話題で、かつ実地で見たほうが面白いのではと考えたわけですね。
次回から3回に分けて、当時生徒さんたちに配布したテキストをベースにしつつ、「サブカルの聖地とその歴史」を紹介してみようと思います。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。