Q.読者に笑ってもらいたいんですがどうすればいいでしょうか

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:意表を突くのです!

エンターテインメントの世界では笑いってすごく大事です。
ギャグやパロディを詰め込んだコミカルな作品ならもちろんのこと。シリアスな青春ものやバトルもの、壮大な政治・戦争ものであっても、日常シーンでちょっと笑えるようなユーモアがあると、ヤマタニの「タニ」になって物語を豊かにします。
しかし、人を笑わせるような会話を書き、ネタを入れ込むのって簡単じゃないですよね。どうしたらいいのでしょうか。ここでは「笑い」の基本的なテクニックを紹介します。

笑える、面白いアイディアの基本中の基本は「意表を突く」ことです。思いもよらぬことにこそ、人は笑ってしまうのです。
そこで、「王道外し」と呼ばれるテクニックがしばしば使われます。「普通こうだよな」と人が思う、その逆をいくのです。しかもただの逆ではなく、予想もできないような逆でなければなりません。
これを、「フリ」つまり問いかけに対する「ボケ」は、そのままの答えではいけないが、かといって全く無関係でもいけない、という言い方で説明することができます。「飛んできたものは何?」というフリに「ボール」では面白くありませんが、「国語」では何がなんだかわかりません。「おっさんの入れ歯」だとちょっと面白くなるでしょうか。
また、「過剰」も大事です。平たく言えば「ヤリ過ぎ」ですね。普通にやることだけれどそれがとんでもない勢い、ありえない量だと、面白くなってしまって笑えてきます。

A:お笑いのテクニックを学びましょう

今度はもう少し応用的な、お笑い芸人たちが使っているようなテクニックを紹介しましょう。
意表を突く、の応用的な手法として「緊張と緩和」がよく知られています。人間は緊張しているときこそ、そこにちょっとしたズレ――緩和があると、ものすごく笑えてくるものなのです。普段カツラを被っている人を見ても別に笑いませんが、面接などですごく緊張している時にカツラのはしが風で不自然に揺れていたりすると、笑えてくるようなものです。
また、「勘違い」というテクニックもよく使われます。二人の人物が一見して同じ物事について話しているようで、実は別のものについて話している、そのズレから笑いを生み出すものです。
これらのテクニックは、お笑い芸人たちの漫才やコントの中に多く見出すことができます。最近はYou Tubeなどの動画サイトでたくさんの演目を見ることができますので、是非参考にしてみてください。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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