第9回「サブカルツアー①中野ブロードウェイ」

コラム

商店街を通って……

サブカル三大聖地を周るツアー、1回目は中野区にある中野ブロードウェイに参りましょう。中野駅の北口から出ますと立派なアーケード商店街がありまして、これをずっと進んでいきますと(左手の方角には有名な「中野サンプラザ」があります)、大きな建物に行き着きます。これが中野ブロードウェイです。
下層は巨大なショッピングセンター、上層は高級マンションになっていまして、施設としての全体の名前は「コープ・ブロードウェイ・センター」です。
歴史をさかのぼりますと、1966年に商店街の行き着く先の木造住宅地帯が巨大なショッピングモールとして作り変えられた、というのが始まりであったそうです。アメリカ文化が入ってきた時代の最先端的な場所でした。大変栄えたのですが。80年代末から90年代にかけてのバブル崩壊、また周辺住民も買い物に行くなら池袋や吉祥寺に……という流れの中で、かなり厳しくなったといいます。

「サブカルの聖地」

ここで転機になったのが、80年から中野ブロードウェイに存在した古書店「まんだらけ」の拡大です。中野ブロードウェイの中には古書だけでなく各種グッズなど専門分野の違う「まんだらけ」がいくつも立ち並び、そこでしか買えない品物を求めてサブカルファンが集まります。そうしますと別のアニメ・漫画系ショップも集まるようになり、90年代には「サブカルの聖地」と呼ばれるようになりました。中野区は東京にしては家賃が安く、ミュージシャンや芸人、漫画家、アニメ産業が盛んだとされるのも後押しになったのでしょう(練馬区などもそうだといいますね)。
現在、中野ブロードウェイは「サブカル系」と「商店街」(時計関係でも有名です)が混ざり合ったカオスな空間となっています。建物の中を歩いているだけでも独特の空気感があって、異世界に迷い込んだような気分に浸れますよ。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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