地球空洞説
かつてオカルチックなテーマが流行った頃、秘境や宇宙といったいくつかの人気アイディアの中に「地球空洞説」があった。地球の地下には実は広大な空間がポッカリ開いている、というのだ。
それは単にちょっと広い地下洞窟などというレベルではなく、もう一つの世界があるレベルで、なんと地中の空には2つ目の太陽まで浮かんでいるという。入り口については諸説あるが、北極と南極の中心に穴が空いているという主張もある。
非常にロマンあふれるワードだが、残念ながら現代では基本的に否定されている。地球の中心にあるのは空洞ではなく高熱の「コア」だ。もう一つの世界などあるはずもない。科学的にありえないにもかかわらず多くの人をひきつけてきたテーマで、かつてはナチスも調査隊を送ったという。エイリアンの基地は地下の空洞にあるのだ、という主張もある。また、「アガルタ」「シャンバラ」といったユートピア思想と結びつけて語られることも多い。
もし地底世界があるなら
事実の話としては地球空洞説は語りにくいが、フィクションの話としてはなかなか面白い。仮に不可思議な力によって地球に空洞があるとして、そこにはどんな生き物がいて、どんな文明を築いているのだろうか。
もともとそこに地表とは別の生命があった? 地上での戦いに敗れた誰か(たとえばナチス!)が新たな帝国を築いている? 恐竜の生き残りが住んでいる? もともと荒唐無稽な発想であるだけに、「地底人」のあり方は色々考えられそうだ。


【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。