Q.どうしても集中できないんです……

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:部屋を片付けるか、外へ出るか?

集中できなければ作業効率が上がりません。作業効率が上がらなければ、長編を完成させるのは非常に難しくなります。時間をたっぷり取れるプロや学生ならともかく、社会人が仕事の合間に執筆しようとすると、短い時間を有効活用するためにさらに集中力が必要になります。
それでも、集中できない……というのは、多くの作家志望者の悩みではないでしょうか。これを解決できれば、他の問題に対しても有効な対策になるはずなのです。
重要なのは、環境を整えることです。部屋がごみごみしていていろいろなものが目にはいってしまったり、必要な道具をすぐ手にすることができなければ、どうしても集中力が削がれてしまいます。部屋を掃除し、本棚に布をかけたりして余計なものが意識にはいってこないようにすることで、集中力を高めることができるはずです。
とはいえ、簡単なことではありません。特に一人暮らしの人は、生活空間をキレイに整理整頓することに限界がある、という人も多いでしょうね。あるいは、家族と暮らしている部屋はどうしても周囲から生活音がして集中できない、という人も多かろうと思います。
そこで、外に出るという選択肢が出てきます。喫茶店、ファミレス、ファーストフード、図書館など、作業できる空間のある場所は結構あります。こういう場所はもちろんそれなりに騒がしいものですが、そうした騒がしさがむしろ集中の助けになる人もいたりします。
あるいは、スマホで書いている人などは極端な話公園で芝生の上に寝っ転がって書いてもいいわけですしね。貴方にとって最適な場所を探してみて下さい。

A:環境はいろいろです

集中力のための環境は場所だけとは限りません。音楽やテレビ番組などで「音」がしていないと集中できないという人も多いでしょう。
悩み事、心配事があってとても集中できない、あるいは仕事などで疲れていてどうにもならない、という人もいるはずです。創作も大事ですが、まずそちらの問題を解決してから執筆に取り掛かりましょう。
また、先程部屋を掃除して余計なものが目に入らないように……という話をしましたが、「余計なもの」は他にありますよね。そう、ネットやそれに関係するゲームです。執筆に用いるパソコンやスマホは、たやすくネットサーフィンやソーシャルネットワークゲームなどにつなげることができます。これが集中の大敵です。
そのため、プロ作家の中には執筆に集中するときにはインターネットとの接続を遮断したり、そもそもネットに繋がらないワープロ専用機を使う人もいます。ツイッターをログアウトする、などの工夫も必要かもしれません。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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