Q:バッドエンド、ダメですか?

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:あんまりおすすめはしません

バッドエンド、好きな人多いですよね。ざっくり説明してしまうと文字通りの「悪い結末」ですが、その中身は実に種々様々です。
多くは主人公やヒロインが死んだりその目的が達成されない終わり方のことを指しますが、他にも色々な形があり得ます。総合すると、読者に「悲しい」「悲劇的」「残念」「失望」などの印象を与えてしまうのがバッドエンド、と言って良いでしょうか。最近でメリーバッドエンドなんて言葉もあります。インターネット由来の言葉で、「キャラクターたちは幸せだが客観的には不幸・悲劇的」な終わり方を指すようですね。
さてこのバッドエンド、榎本メソッドではあまりお勧めをしていません。何故か? 理由は大きく分けて二つあります。
一つは、面白くするのが難しいからです。主人公の目的が達成され、彼あるいは彼女が物語開始時より成長し、そして自分の周囲や他の人を幸せにして終わる物語は、それだけで達成感、満足感があります。つまり面白くしやすいのです。この王道を外すということは、それだけで創作の難易度を上げてしまいます。
もう一つは、どうしてもターゲットを狭くしてしまいがちなことです。これは私が学校その他で様々な若者たち見てきて感じたことなのですが、作家志望者の皆さんは、創作を志すくらいには読書に熱心で、多くの物語を読み、それだけ一般的なパターンには飽きていることが多いのです。結果、バッドエンドもののような一風変わった作品に惹かれがちになります。しかし、普通の読者は皆さんよりも読書経験が少なく、王道的なハッピーエンド作品を好むのです。この辺の視点はどうしても見落とされがちです。

A:あえてやりたいなら……

しかし、創作というものは自分が書いて楽しいものをこそ書くべきです。なので、やりたいならやるべし、というのも授業でいつも話してきたことです。
実際、バッドエンドものも一部層に人気はあります。数は多くないが熱狂的な層を狙う、いわゆるニッチ戦術は一つの手ではあるのです。
また、悲劇的な結末、モヤモヤが残る結末には、読者の興味を強く惹きつける可能性があります。平凡な結末で忘れられるよりは、読者の心に残るくらい残酷な結末で覚えてもらうという選択肢はありでしょう。上級者向けではありますが、覚えておいてください。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

タイトルとURLをコピーしました