Q.プロットや設定ばかり溜まって書き始められません

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:書けるところから書きましょう

これはもう、Qを見た時点で頭を抱えてしまった人、結構いるんじゃないでしょうか。
書きたい話はたっぷりあるはずなのに、積み上がっていくのは「こういうふうに始まってこういうふうに展開します」のプロットや「この街はこうでこの国はこうでこの部族はこう」みたいな設定のノートやデータファイルのみ。気付いたら最初に話を思いついてから何年も経っているのに一向に書き始められず、ノートはすっかり黒歴史化……大丈夫、私も過去を思い出して大変恥ずかしい気持ちです。作家志望者なら一度は通る道でありましょうね。
恥ずかしがってばかりもいられません。解決法を探しましょう。一つの対策は「どうにか書けるようにする」ことです。
どうしたらいいでしょうか。とりあえず「書けるところから書く」が基本中の基本といっていいでしょう。だいたい書けなくなっている人は序盤を何度も書き直しているうちに訳が分からなくなってしまうケースが多いようです。自分でハードルを上げてしまうんですね。そこで、気楽に書けるところから書いてしまうと、思いの外スイスイ書き始められるようです。

あるいは、プロットや設定が膨れ上がりすぎてしまっている場合、余計なところをカットしたり、大事なところだけをピックアップしたりできると、大きな前進と言えます。
その作品でやりたかったことはなんでしょうか? 本当に大事なものはなんでしょうか? そんなところから考えてみてください。

A:いっそ距離を取りましょう

もう一つの対策は「その作品から距離を置く」ことです。
本末転倒だ、と思いましたか? 実際そうなんですが、しかし目的次第ではそのプロットや設定が膨れ上がった作品にこだわることそのものが本末転倒になってしまう可能性があるのです。
あなたはプロ作家を目指しているのでしょうか、それともその作品をライフワークのように書き続けることが目的なのでしょうか? 後者ならともかく、前者であれば、その作品にこだわることで目的が達成できなくなる可能性があります。

というのも、長年にわたって温め続けたような作品は、ストーリーにせよ、設定にせよ、膨れ上がりすぎて実際に書くのが非常に難しくなっていることがしばしばあるのです。
前述したように面白いところ、魅力的なところをうまいことピックアップできればいいのですが、作品やキャラクターへの愛情が大きくなりすぎて「何処も削れない!」なんてことにもなりがちです。あるいは、やっぱり長年温めたり少しずつでも書いてきた結果、「どうしてこれを面白いと思ったのかわからない」「もうつまらなく見えるようになった」などというケースも、実地で数々見てきました。

そこで、一度距離を置くことをお勧めするのです。何か新しい作品が書けるのであれば、それでよし。しばらく時間をおいて冷静な目で描き始められるなら、それもよし。クールダウンすることは大事なのですね。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。
タイトルとURLをコピーしました