現実具体性を考える

榎本秋のクリエイト忘備録

フィクション作品を作るときに大事なことは、ルールをきちんと作ることです。
そのルールのことを私は現実具体性と呼んでいます。

現代で魔法を使える世界の場合、いつどんな魔法でも使えては都合が良すぎます。そこで、魔法使いには発動に制限や使うための訓練が必要だったりします。
それはファンタジー世界でも同じで、必ずルールや法則があります。その世界の現実の中でその要素は具体性があるのかということを考えてみてください。
例えば、ファンタジーのゲームですごく薄い生地なのに防御力が高い防具があったりします。その防具には魔法の宝玉が組み込まれていて、防御フィールドを展開しているから防御力があるのです。
逆に、とても大きな剣を華奢な美少女剣士が持って振り回しているとするなら、その大きな剣には魔法文字で軽量化の魔法が込められていることにすればいいです。
瞬間移動ができる場合も、移動できる範囲や1日の利用回数などを決めていきましょう。
そんな感じで、普通とは違う超能力や魔法を使うのならその理屈を考え、読んでいる人が納得するかを考えてみてください。

魔法の場合は、魔法の力の源はどこにあり、その源の力をどのような手段で加工し、魔法として発現するか。
そのためにはどのような代償を払うかを考えてみればいいと思います。
例えば、魔法の源は世界に満ち溢れているマナという目に見えない物質で、このマナの濃度によって魔法が使えなかったり、威力が大きくなったり、暴走したりする。
魔法使いは、このマナを感じ、自身の中にある個人のマナと作用させて魔法を使う。個人のマナは有限で使用すると量が減っていき、一定時間の経過や睡眠によって回復する。
魔法の使うには魔法書などで魔法の理論を学ぶことが必要で、個人のマナの容量を増やすのには瞑想をする必要があるとか。
これらの仕組みをすべて小説や漫画で描く必要はないですが、作者の中ではルールを作っておきましょう。

榎本秋

榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。

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