複数人が関わる会話

ワンポイント

会話シーンを書くようになると、最初は~と言った、~と言ったと地の文が多くなりがちですが、慣れていくと、

「あ、わざわざこんなことを書かなくとも通じるんだ」

と省略できるようになります。
特に一対一の会話ですと、セリフを連ねるだけでもどんな風に喋っているかはわかりますので、そのようにする人が多いでしょう。

しかし、常にセリフだけで意図が通じるわけではありません。
特に問題になりがちなのは三人以上の多人数での会話シーンです。

一対一なら「最初にAさんが喋ったからこれはBさんだな」とわかりますが、三人以上居たらそうとは限りません。
A→B→Cと順番に喋っていたらその限りではありませんが、
でも、現実にそんなふうに喋りますか? 違いますよね。

そこで、いろいろな工夫が必要になります。
一人称や喋り口調、語尾などに特徴をつけて、セリフを見れば誰のものなのかわかるようにする。
二人や三人がメインで喋っていて誰のセリフなのか分かる場合は地の文を省略気味にして、
そこに他のキャラクターが口を挟むときは地の文でしっかりアピールする、など。

「誰のセリフなのかわからない」は読者にとってかなりストレスになるので、注意しましょう。

なお、それ以外にも、「誰がどこにいるのか」「どういう位置関係なのか」「どんな状況なのか」も
多人数での会話シーンでは結構気になるポイントです。
しっかり書き込むと、印象が良くなるでしょう。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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