No.14「オリハルコン」―それは伝説の金属

榎本海月の連載

プラトンかく語りき

伝説や神話、物語にはしばしば「特別な金属(素材)」が登場する。それらで作られた武器は普通の青銅や鉄などと比べて硬く、軽く、鋭い切れ味を持った。それだけでなく、不思議なパワーを持つこともしばしばあったのである。
そして、その中でも特に有名なもののひとつが「オリハルコン」である。さまざまな物語に「オリハルコン製の武器」が出て来て、凄まじいパワーを発揮するのだ。
このオリハルコンのルーツは、古代ギリシャの哲学者プラトンの著書にある。彼は超古代に存在した幻の大陸とそこにあった国家として「アトランティス」の物語を語った。元はポセイドンが治めていたというアトランティスは偉大な文明を誇ったが、やがて堕落し、最後にはゼウスの怒りに触れて滅ぼされてしまう。
そのアトランティスで用いられていたとされるのがオリハルコンなのだ。アトランティスではたとえば神殿などがオリハルコンで作られていたとか、あるいは飛行船を宙に浮かせる原動力になっていたとかいう。特徴は「赤く輝いている」ことだ。

その正体は?

オリハルコンの正体がなんなのかは結論が出ない。そもそも実在したかどうかも怪しいから仕方がない話ではある。それでも、赤いという外見から、銅や真鍮なのでは、と推測されている。一方で、「赤い不思議な物質」繋がりから錬金術の「賢者の石」と結びつけて考えられることもあるようだ。


【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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