第31回「「むかし」の爆発兵器と黒色火薬」

ファンタジーを書くために過去の暮らしを知ろう!

火薬の効果

火薬。すなわち火をつけることで爆発する物質は、私たちの社会に非常に重要な存在である。特に、戦争における武器・兵器にとって大きな意味を持つ。前回紹介した銃にとって特にそうだが、単に爆発物としても、大きな障害物を排除するなどの形で大いに利用されたのである。
まずは「むかし」から見てみよう。いわゆる火薬の元祖とされるのは中国で発明された黒色火薬だ。しかし、もっと「むかし」から火を兵器として使う試みは行われ、火薬的なものがあった。その代表例とされるのが「ギリシャ火」と呼ばれる燃える液体で、これはガソリンの一種がベースであったようだ。原油が吹き出る地域を支配しているような部族や国家は、これを利用して敵の侵略と戦い、あるいは逆に自分たちが他者を侵略するようなこともあるかもしれない。

黒色火薬とは?

黒色火薬は文字通り黒い火薬で、硝石、木炭、硫黄を混ぜ合わせることで作る。木炭はともかく、硝石と硫黄は産出する場所が限られるものだ。これらを産しない地域では外国から購入せねなばならず、軍事的に不利になる可能性がある。ただ、硝石は人間や家畜の排泄物を長年受けた土を処理して作ることができるので、異世界から転生した人がこれを知っていれば、凄まじい兵器を得られるかもしれない。
なお、黒色火薬はもともと不老不死の仙人を目指す研究の中で見いだされたものである。燃やすと爆発的に燃焼し、大いに煙が出るのが特徴で、だから黒色火薬の銃が使われる戦場では盛んに煙が出ることになる。
あまり煙が出すぎると兵器としては使いにくい……ということで、19世紀の終わり頃には煙が出にくい無煙火薬が発明されており、「いま」はこちらが主になっている。銃を撃っても周りをもくもくと煙が包むようなことになっていないのはそのためだ。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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