◆4回「ディレッタント」

榎本海月の物語づくりのための黄金パターン キャラクター編+α

好事家

ディレッタント。ちょっと聞いたことがない言葉かもしれない。これは学問や芸術などを愛好し、収集し、研究するアマチュアのことである。好事家、という言い方をすることもある。ルーツはイタリア語における「熱心な音楽好き」の意味である。
プロの学者が職業として学問や芸術を研究しするのに対して、彼らはあくまで趣味として行う。だいたいそれぞれに好みやテーマがあり、それに基づいて芸樹の成果や研究のための資料を集め、自分なりに良いと思うものを選んでコレクションやリストを作ったり、研究したりする。研究成果は昔なら自費出版や同人誌、今ならブログやSNSで発表するわけだ。
彼らは基本的にはあくまで素人であり、体系的な学問の理解が浅いことも多く、しばしばその知識や研究はトンチンカンなものになりやすい。楽しい、面白い、こうであって欲しい、といった感情が先に立って、理論的でない理解にたどり着くことも多いだろう。ディレッタントという言葉自体がしばしば「一般には、半可通の芸術知識をひけらかす人をさげすんでいうことが多い」(ニッポニカ)というあたり、あまりプラスの意味では使われにくいレッテルである。

アマチュアだからこそ

現実ではそうであっても(いやむしろそうであるからこそ)、物語の中ではディレッタントには活躍の余地がある。
たとえば、主流の学者たちから目向きもされぬ研究を続けるディレッタントが、ある日突然常識では考えられぬ発明・発見をしてしまったら? それが有用なものであれば彼は引っ張りだこになるだろうが、もしかしたら「実は注目されたいためのでっち上げ」ということもあるかも知れない……割と現実にもあることである。
また、ディレッタントは情熱か財力のどちらか(あるいは両方)を人並み以上に持っている。そのようなパワーを注ぎ込んだ結果として、普通の学者では気づかないようなこと、目向きもしないような収集品を集めてしまい、結果として何かの事件につながる可能性も十分ある。

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【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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