第26回「部活」

榎本海月の連載

部活とは?

学生の日常はどうしても授業を中心として同じことの繰り返し、淡々としたものになりがちなのが物語作りにおいて難しいところだ。そのような退屈さはだからこそ非日常の世界へ挑戦していくのだという動機にもなるけれど、物語を広げていくのには向かない部分もある。
ただ、学校の中にも授業だけでないものは少なからずある。友達とのおしゃべりなんかもそうだが、これはどうしてもクラスや仲良しグループに固定される。それらの枠を飛び越える代表格が部活動だ。
日本の学校では中学・高校を中心に部活動が盛んだ。小学校にも同種のものはあるし、大学でも部活・サークル活動はそれぞれにあって特にプロスポーツが普及する以前などは大変な人気があったが、今は当時ほど注目はされない。
部活への参加は自由とされているが、実質的に「どこか一つの部活に所属すること」あるいは「運動系と文科系それぞれ一つずつ入ること」などとされている学校も多い。
各部には顧問の先生がついて統括、および技術の指導などを行うが、これはボランティア的な作業になっていて、先生の負担が大きすぎるとして近年大いに問題になっている。その中で最近では技術指導者をよそから連れてくるなどの動きも見られるようだ。

運動系と文科系

部活動では一般に何らかのスポーツや学問分野、趣味などをテーマとして掲げ、これについての技術修練、知識研究、また競い合っての成績向上などを目指す。
掲げるテーマの性質によって大きく二つに分かれることが多い。すなわち、体を動かすスポーツが中心の運動系(体育会系)と、学問・趣味など室内で頭や手先などを使う内容が中心の文化系である。
一般に、運動系の方が練習や先輩後輩の上下関係に厳しく、大会での入賞など目的がはっきりとしている、とされる。野球サッカーテニス陸上卓球空手柔道剣道その他諸々、種目にも有名なものが多く、わかりやすい部活と言える。
一方、文化系はどちらかというと趣味的なところが大きく、掲げるテーマや活動内容も曖昧なものが比較的多く、遊んでいるように思われることもあるかもしれない。
しかし、運動系にも(種目の性質よりは学校、地域、部の雰囲気などの影響によって)ゆるい部活は普通にある。きちんとした練習・技術の習得はせずに遊びのように簡単な試合ばかりやっている部があれば、ほとんど廃部寸前で誰も来ない部もあり、みんな部室には来るけれどタバコを吸ったり麻雀やったりと遊び呆けている部もある。この辺り運動系の文化系もそう変わりはないのだ。
一方、文化系にも真面目に、強い目的意識を持って活動している部活はたくさんある。その代表格とされるのが吹奏楽で、身体は動かすし(楽器は重い!)、チームで統率された行動が必要だし、出番も多い……という具合で、実質的には運動系だ、なんて言われたりもする。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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