子供の頃から架空戦記やハイファンタジー、ミステリーあたりを読んでいた私ですが、そんな中ではまっていた児童文庫がクレヨン王国シリーズです。
講談社青い鳥文庫から出ていて、途中から大長編シリーズの月のたまごのストーリラインがメインになりましたが、はじめのころは一冊完結の話が多いです。
そこでは児童文庫の読者が遭遇するであろう問題を描いていてとても共感が持てました。
ちなみにもう1つ読んでいた若い人向けシリーズが『ぼくらの七日間戦争』シリーズ。この2作以外はひたすら歴史小説とミステリーを読んでいた気がします…。
さて、『クレヨン王国のパトロール隊長』のとてもいいところは、自分の居場所探しをする少年が異界である「クレヨン王国」で自分ときちんと向き合うこと。
そして、社会の厳しさを知ることです。
非常に綿密に練られたプロットラインとドキドキするストーリ運び、時にいやらしすぎる悪役。残酷な現実。
すべてが主人公の成長に役立っています。
ぜひお読みいただければ嬉しいです。
ちなみに、本作以外のクレヨン王国シリーズの一冊完結ものだと本作と雰囲気はガラッとかわりますが、『クレヨン王国黒の銀行』は児童文庫らしい軽妙な物語運びで特におススメです。
榎本秋
榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。