Q.実在の人物や名前、場所ってそのまま出していいのですか?

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:問題は起きない可能性もありますが……

たとえば主人公たちが通うコンビニや、飲み物食べ物、遊びに行くテーマパーク、話題に出る芸能人……これら実在する固有名詞をそのまま使っていいかどうかは、悩む人が結構いるのではないでしょうか。私もたまにぶつけられたことがある質問です。
ぶっちゃけて言えば、そのまま使ってそんなに大きな問題が起きることはあまりないと思います。なるほど、名前に著作権があり、芸能人の名前にも権利があり、そうでなくても名誉毀損だの何だのと文句をつけられることがあるかもしれません。
それを避けるために伏せ字にしたり、もじったり(ディズニーランドをディスティニーランドにしたり、セブンイレブンをエイトテンにするような)するのは一つの対処でしょう。
ただ、正直を言えばその程度のことが大きな問題になることはめったにありません(あなたが本当に名誉毀損、誹謗中傷になるようなことを書いていたらともかく、ですが)。また、仮に問題視されるようなケースでも、新人賞に送れば編集者さんがしっかりチェックしてくれます。そのうえで「ここは変えたほうがいいですよ」などのアドバイスを貰えますから、大丈夫です。この点では出版社はプロですから。
ただ、それでも心配だ、気になる、という人は多いでしょう。なので、「問題はそうそう起きるものではない」が、「そのままは使わない方があなたの精神安定のためにも無難」というのが答えになります。

A:自由に作り替えることを考えると……

ただ、またちょっと別の意味で「現実に存在する具体的な名前を出さないほうがいい、変えたほうがいい」というケースがあります。それは、あなたの物語の都合で、現実からちょっと変えたい、あるいは現実の物事にとらわれたくないときです。
例えば、あなたが自分の住んでいる町を舞台に物語を作ったとします。住んでいる場所なら細かくいろいろなことを書けるでしょうが、しかしそれでむしろ悩むことがあるかもしれません。物語の都合上、あるものをないとしたり、ないものをあるとしたりしたい時があるはずです。たとえば踏切越しに見つめ合う二人が演出したいけど都合のいい踏切がない、などです。
そんな時、物語の創作者であるあなたは、もちろん都合のいいものが「ある」あるいは「ない」としていいのです。現実が舞台であってもそうしてよいのです。
ただ、問題もあります。読者によっては引っかかる人がいるかも知れません。「そんなものはないはずだ」と。これは人名、場所名、物の名前などに関わってさまざまに置きうる問題です。
こういう視点に立つと、名前を変えたりもじったりすることで「別物だよ」とアピールする意味は大きいのです。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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