Q.完成後に大幅に直すのが面倒なんですが……

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:わかりますが必要なんです

わかります。「見直すのが嫌だ」という人は結局のところ、せっかく書いたものを直す――それも大幅に書き直すのが面倒だ、というケースが多いのではないでしょうか。もちろん、私だって嫌ですよ。100ページ書いたら100ページそのまま完成作品にして終わりにしたいです。
しかし、そうもいきません。新人賞受賞作品が編集さんによって真っ赤に赤入れされて延々修正すことになるとか、冒頭10ページくらいばっさり落とすとか、書き上がった原稿の半分をボツにして新しく書き直すとか、そういうことが実のところそれなりの可能性であります。
実際、プロを目指してより良い作品を作ろうと思うのであれば、大幅書き直しは覚悟しなければなりません。ここまで本連載で紹介してきたとおり、プロット段階で、あるいは最初の執筆段階で完璧な作品を作り上げるのは非常に困難です。完璧を目指すあまり何度も手直しをしたり、あるいは書けなくなって、そのままギブアップする確率が非常に高いのです。

A:心の持ち方次第です

であれば、とりあえず勢いで最後まで書いてしまって、それから見直し、手直しをしたほうが絶対に効率が良くなります。「急がば廻れ」とはよく言ったもので、あとあと直したほうが手間は少なくてすむのです。
本連載でたびたび「会話文だけ書いて、細かいところは後で書く」「構成などで悩んだら後で大幅に直すつもりでとにかく書きたいように書く」とアドバイスしてきたのは、実にこのためです。
全く何も知らない状態で「よし、これはどうにもならないから半分ボツにして書き直すぞ」となったら心が折れてしまいそうですが、「うん、完成したけどやっぱり前半書いていたこのパートは作品としてのクオリティを下げるな。ボツにしよう」ならなんとか耐えられそうな気がしませんか? ボツパートに意味がないわけではないのです。それを書くことによって他の部分のクオリティをあげられたのだから、立派な意味があるのです。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース(https://www.ndanma.ac.jp/nma/course/novel/)】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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