Q.タイトル付けのやり方を教えて下さい

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:王道のやり方があります

タイトルで困る人も結構多いようです。何しろ作品の顔、読者にとっては一番最初に見える部分ですから、ここをカッコつけたい、第一印象から差をつけたい、という気持ちは良くわかります。しかしその気持ちがから回って結局タイトルが付けられない……では仕方がありません。
タイトルの王道は、「その作品を象徴する要素」の名前をつけることです。つまり、

・主人公やヒロイン
・アイテムや地名
・テーマに直結する概念


などですね。ただ、耳慣れない単語だけだと読者の興味を引ききれないので、一般名詞と組み合わせて「そもそもどんな要素なのか」が想像できるようにするのが一般的です。『灼眼のシャナ』『涼宮ハルヒの憂鬱』の手法、といえばわかりやすいでしょうか。単に人名が出てくるよりも、なんとなくはわかりますよね?
ほかに最も古典的なタイトルパターンである、

・~記、~戦記、~志、~事件簿、~録

などの、何らかの記録であることを示す言葉をくっつけるスタイルもよく見ます。
もうちょっと細かくタイトルの勘所を掘り下げてみましょう。アルファベットやカタカナなどで外国語風のタイトルを付けたい人も多いですが、日本人にとっては感覚的に理解しにくいのでちょっとわかりにくくなりがちのようです。あんまり長くしないほうがいいでしょうね。
また、これはアイディアそのものとも直結する話なのですが、矛盾する要素が入ってくるタイトルは読者に「え、どういうこと?」と気にならせる力があります。

A:文章系タイトルも人気です

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』あたりから人気になった、いわゆる「文章系タイトル」(私は以前「短文系タイトル」と呼んでいましたが、誤解されることがあったのでこう呼びます)もまだまだ人気があるようです。ルーツは「2ちゃんねる(5ちゃんねる)」のスレッドタイトルとされますが、今では「なろう系」を中心にすっかり定着しました。
このスタイルがいいのは、「これがどんな作品なのか」を強烈にアピールできることです。誰だって自分の趣味に合わない作品を読んで時間を無駄にはしたくないもの。しかし文章系タイトルは作品の内容を紹介する短いあらすじのようなものなので、このトラブルをかなり減らすことができます。
また文章系タイトルは長い分、先に紹介したような矛盾する要素を並べて読者の興味を引く、意外な単語で面白そうに思わせる、というテクニックにも向いています。
その一方であまりにも独特のイメージが付きすぎていて、ある種の層からは敬遠されそうなのは難しいところではあります。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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