Q.物語をきちんと終わらせるってどういうことですか?

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:目的を達成しましょう

小説の新人賞向けアドバイスなどでよく見られるものの一つが「物語をきちんと終わらせましょう」というものです。
実際の新人賞投稿作品でも、「終わってない」作品はよく見ます。「未完」「続く」などあからさまに終わっていないことをアピールする作品もかつてはありましたが、そうではなく「一応作者本人は終わらせたつもりだけれど、読むと明らかに終わっていない印象を与える」作品もしばしば見られます。これらは選考の際には明確にマイナス評価をされます。
では、どうしたらいいのでしょうか?
最もわかりやすいやり方は、「主人公(あるいはヒロイン)の目的が達成されているか?」で確認することです。これが達成されていると、明確に「終わった」感があります。「これはどんな物語か?」「主人公が○○をする話だ」ということで、作品としてもシンプルで筋が通った印象を与えます。これは非常に重要なことです。
ただ、あまりにも大きなスケールの目的(世界を救う、など)を持っていたり、その目的を達成してしまうとそこから先広げようがない話(ヒロインと両思いになる、など)などもあります。これで達成してしまうと、ライトノベルとしては不向きになるかもしれません。
その場合は「段階的に達成する」という手が有効です。七つのアイテムを集める旅で一つ目のアイテムを得て終わるとか、告白失敗したかに見えて実は相手が憎からぬ気配を見せてきて「もしかして」と思ったところで終わるとか、がよくあるパターンでしょうか。前進することが大事です。

A:テーマに答えを出しましょう

主人公やヒロインの目的とは別に、物語に「終わった」感を出すのに大事なのが「テーマ」です。読者に「この話は結局何がしたかったのか」と困惑させてしまっては終わった感が出ません。
テーマ、すなわち「この話で作者がしたかったこと」が作中のイベントやキャラクターの会話によってきっちり示されてこそ、「終わった」感も出ます。
たとえば、復讐の正当性を問う話ではそれぞれの価値観をぶつけ合った上で「その作品での答え」を出さなければ終わった感が出ません。他のテーマでもそれぞれの形できちんと答えを出す必要があります。
ただこれも大きすぎるテーマでは答えが出しようがないこともあります。その場合は一つの区切りだけでも出せるよう考えましょう。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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