Q.どんでん返しってどうやって作ればいいですか?

榎本海月のライトノベル創作Q&A

A:前提をひっくり返しましょう

さて、前回の項目では「事件」の代表的ケースとして「どんでん返し」なるものがあると紹介しました。となるとこういう疑問が出てきますよね。
どんでん返しは何かと言うと、もともとは歌舞伎で使われている舞台用語です。舞台の転換を高速で行う技術のことをこう呼んでいて、そこから転じて「物語の状況、前提などが大きく切り替わること」を指す言葉になっています。
ミステリーを例としてあげるのがわかりやすいでしょうか。たとえば殺人事件の被害者が実は別人だったとか、探偵こそが犯人だったとか、そういう「前提が入れ替わるような衝撃展開」がどんでん返しと呼ばれます。まさにこれこそ「事件」ですよね。
では具体的に、どんな風にどんでん返しを作ればいいのでしょうか。これはまさに、「前提が入れ替わるような」というのがポイントになります。今あなたが作ろうとしている物語の前提は何でしょうか。どれがひっくり返せるでしょうか。
もちろん、ひっくり返せるなら何でもひっくり返せ、というわけではありません。たとえばやっぱりミステリーの話をすれば、殺人事件の構造そのものがひっくり返すような話(すべてが狂言で、関係者が全員結託していた、など)はあまりにも独創的すぎてそれを面白くするのは困難です……そういうミステリーもじつはあるのですが。あくまで上級者向けのアイディアです。
あなたが書こうとしている作品のテーマに合致する「ひっくり返し」を狙うこと、また何でもかんでもひっくり返すよりは一つ、重要な概念をひっくり返すことをおすすめする。たとえば、能力バトルもので、主人公が忠誠を尽くしてきた組織に裏切られる(どんでん返し!)けれど、組織が本来持っていた信念や戦いの中で得てきた絆などは彼を裏切らない……などとすると、どんでん返しとしても効果的ですし、物語としても統一感が出るわけです。

A:ありえないことを考えてみましょう

どんでん返しの練習法としては、日々のネタ出しの段階から「ありえない」というテーマで考えることをおすすめします。
これは別にどんでん返しのことだけでなく、そもそも面白いアイディアというのは「現実ではありえない」「これまでのエンタメではありえない」ものであることが多いのです。それに加えて、どんでん返しに求められる「状況の転換」「前提の転換」という点でも有効なので、ぜひ挑戦してみてください。
その際、いわゆるお笑いの「大喜利」のつもりでやってみるといいかもしれません。一つのテーマに対して色々な答えを出す大喜利では、なるべくありえない、それでいてありえないだけではない答えが求められます。どんでん返し的な発想をする参考になるでしょう。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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