A1:とりあえず「書いて」みましょう
たくさんアイディアは湧いてくる。しかし、これを具体的にどんなふうに「物語」にしたらいいかわからない。あるいは、「こういう話を書きたい!」というイメージはあるけれど、具体的に何をどうしたらいいかわからない。
そういう人は多いですよね。
一番のおすすめは、「書く」ことです。スマホやパソコンでもいいんですけど、理想は白い紙に手で書くことです。iPadなどのタブレットを使ってる人は書き込めるアプリを使うのもいいですね。なぜかというと、ペンを通して頭に刺激がくるからです。この刺激は馬鹿にできません。
ただ、手であろうとキーボードだろうとフリック入力であろうと、大事なのは書いて、紙や画面にあなたのアイディアが現れることです。
そして、それを自分の目で見ることです。これはつまり「アイディアを頭の外に出した」ということを意味します。
頭の中にあるアイディアはふわふわとしていて変わりやすく(それは発想が広がるということでいい意味もあるのですが)、また客観的に確認ができます。ひょんなことから忘れてしまう可能性も高いです。
しかし、書いて文字にすることで記録することができます。また自分の目で見ることで「こういう考え方もできるか」「あ、思ったほどつながらないな」などと考えることもできるようになります。
創作にちょっと慣れてきた人はついつい頭の中だけで物語を作ろうとしがちなのですが、そうすると結局まとまらない……ということが多いようです。
横着せず、書いて、アイディアを外に出すことから始めてみましょう。
A2:とっかかりを探してみましょう
もう一つのおすすめは、とっかかりを作ることです。塊のアイディアは手がつけられなくとも、まず一箇所バシッと決めることによって驚くほど物語が作れるものです。アイディアがまとまらない場合、多くは「手当たりしだい要素をくっつけてみたら収拾がつかなくなった」ということになりがちなので、それなら順序立てて物語を作ればいい、というわけです。
では、具体的にどうしたらいいでしょうか。
二つ、やり方を紹介します。
まずは「物語の背骨」として知られているものを作ることです。これは物語の一番中心にあるそれ以上削れない要素で、
「(人物)が(行動)をして(結果)になる」
という文章で表現されます。あらゆる物語は、削って削った最後にこれが残ります。逆に言えば、まずこれを決めた上で、必要な要素をくっつけていくと、物語が成立します。
またこれとも関係するのですが、「主人公の目的をしっかり決める」のもおすすめです。その主人公は何をしたいんでしょうか(どんな結果をもたらしたいのでしょうか)。彼あるいは彼女の目的や目標を追いかけながら物語を作っていくと、きちんとまとまるはずです。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。