年に4回以上長編を応募していて、一次選考はほぼ通るし最終選考にまでいったこともある。でも受賞しないし、ネットでよく聞く編集さんから連絡が来るということもない。
こういう相談をよく受けます。私の経験ですが、二次選考落選でも「作家性」が感じられると連絡がきますし、私も連絡しました。
一方、最終選考までいっているのに、編集部から連絡がないケースも聞きます。
これはどういうことでしょうか。
身も蓋もなく言うと
「作家性」「将来性」
を当該編集部としては感じなかった
ということなのです。
きちんと読めるし、作品になっている。ちゃんと面白い。
でも、オリジナリティや新しさが弱いとこういう状況になります。
かといって、読者を置き去りにしてひたすら変わったことをやればいいということではありません。オリジナリティと新しさは必ずもイコール「面白さ」ではないからです。
それを意識した上で、無理しない程度に新しいことや読者が興味ありそうなことを探してみるのがいいと思います。
まずは自分の出身地や今までの経験、趣味や特技等を見直してみてはいかがでしょうか。他人から見て面白そうな経験や職業などをしていないでしょうか。
興味がある職業があれば丁寧に取材してみるのもアリです。
一次選考を通過できるということは基礎力はあるのですから、あとは自分らしさです。
そして、これは作家デビュー後も求められます。今のうちに経験できてラッキーくらいに前向きに考えてみてください。
榎本秋
関連記事「2020年4月版 新人賞の選考で一次はほぼ通過するけど受賞できないし編集さんからも連絡が来なくてどうしていいか困っている方へ」をアップしました。

→榎本秋のクリエイト忘備録にて、作家性をのばすためのことを色々書いていますのでこちらもお読みいただければ幸いです。
榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。