「歴史もの」のポイント

ジャンルとパターン

実際の歴史を題材にして書く小説は、大きく

1:歴史小説
2:時代小説

に分かれます。

歴史小説はまさにストレートに、実在の歴史的事件を題材として描いたものです。

「実は本当はこうだったんじゃないか?」
「史料に残ってないけど、こういう事が起きていたのでは?」
と独自の解釈や架空の登場人物を入れ込みつつ、「歴史の流れは変えない」のが基本です。

そこに妖怪とか魔法とかファンタジックな要素を入れ込んだり、
「歴史の表には出ていないけどこんな風に実際は全然違ったんだよ!」
とする場合は特に「歴史伝奇」と呼ぶようです。

一方、時代小説では歴史的に大きな事件をストレートに扱いはしません。
「この時代、人々はこんな風に暮らしていたんじゃないか」
「そこではこんな事件が起きていたんじゃないか」
という具合で、
歴史を土台・舞台として物語を描く小説が、時代小説です。
一般に江戸時代を舞台にすることが多いのは、それだけファンが多いということでしょう。

もちろん、江戸時代と言っても多種多様ですから、この中で色々ジャンルが分かれます。
チャンバラ、捕物、人情、政治ものなどがよく見られますね。

さて、これら大きくくくって「歴史もの」を書く時の注意点は、切り口にこだわることです。

なにしろ歴史小説はあくまで歴史に沿って物語を描くので、「ただ歴史を書いただけ」になりがち。
時代小説も、他の時代でも書ける話なら「意味がない」という印象を与えてしまいます。

歴史的事件の面白い真相や、江戸時代のあまり知られてない変わった職業など。
読者の興味を引け、面白い話にもつながる、切り口こそが求められているのです。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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