「謎」だけでは小説にならない

ジャンルとパターン

ミステリー小説でいちばん大事なものは何でしょうか。
――「謎」。もちろん、その通りです。
トリック、ギミック、そんなもので満ちた謎を解き明かすさまこそ、ミステリーの面白さです。

しかし、謎だけで物語は成立するでしょうか?
そうではないですよね。謎だけあるなら、クイズで十分です。
ミステリー「小説」なのですから、物語の面白さがなければ意味がありません。

探偵はいかに「謎」を解くのでしょうか。
犯人はなぜその「謎」を作り出したのでしょうか。
(これは【ホワイダニット】といって、立派な謎の一部です)

いえ、そもそも「謎」の出現は登場人物たちの立場や関係にどう変化を与えるのでしょうか。
謎が解かれるにあたって以外な顔を見せるキャラクターもいるでしょう。
思わぬところからヒントや新しい謎が出てくるのも、ミステリーの醍醐味です。

「謎」の魅力を引き立てるためには、「謎」と物語がどう絡んでいくのかにも心を配る必要があるのです。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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