♠48回「物を投げる限界」

榎本海月の物語に活かせるトラブル&対応事典

ボールを速く投げる限界

咄嗟に、手近にあった石を投げつけて敵を攻撃する。あるいは、川の向こうの人へものを投げ渡そうとする。そのような「(遠くへ、そして正確に)投げる」行為は、人間が他の動物と比べて明らかに優れている部分だ。チンパンジーが己の糞や石を投げるケースもあるが、正確さでは人間にとても及ばない。では、これらの能力において、人間の限界はどのあたりにあるのだろうか。【それを知っておくと現実的にありえない描写をしないで済むし、また逆に超人的描写をする際にどのくらいの数値にすればハッタリを効かせられるかわかる。】
ものを速く投げる、といえばまずは野球のピッチャーだ。最速とされるのはメジャーリーグの投手、アロルディス・チャップマンの時速169.1km。日本記録では大谷翔平とロベルト・コルニエルの時速165kmが知られている。
しかし、このように速くボールを投げる行為は人間の肘や膝に大きなダメージを与えるため、球数が増えると故障も出てしまう。そのため、近年のプロ野球では100球前後でのピッチャー交代が当たり前になっているし、高校野球などでも級数制限についてしばしば話題になる。日本における球数の記録としては1945年に延長28回を投げた投手の344球が知られており、この記録が破られることはないだろう。

陸上競技の「投げ」

「投げる」ことを主軸にしたスポーツもある。陸上競技のうち「砲丸投」「円盤投」「ハンマー投げ」「やり投」がそれだ。各競技の現在の記録はそれぞれ、

・砲丸投(男子23.37m/女子22.63m)
・円盤投(男子23.37m/女子76.80m)
・ハンマー投げ(男子23.37m/女子82.98m)
・やり投(男子23.37m/女子72.28m)


となっている。これらの記録の多くは長らく更新されておらず、技術や肉体強化の限界が来ているのではないかとも言われていた。しかし、やり投女子が2008年、ハンマー投女子が2016年、砲丸投げ男子が2021年と、更新するものが出てきている。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

↑こちらから同じカテゴリーの記事一覧をご覧いただけます
タイトルとURLをコピーしました