49時限目「おすすめ本紹介⑧ 秋本治『両さんと歩く下町』」

榎本海月の連載
その49:秋元治『両さんと歩く下町』

地元を知るのは簡単ではない

以前、「地元のことを知るのは大事」「自分自身の生まれて暮らしてきた場所は差別化のために注目するべき」と言う話をしました。しかしそれは簡単なことではありません。
そこで今回は、ある偉大なクリエイターが自分の地元について、自分の作品の思い出とともに語ってくれた本を紹介します。

ロケ番組のような

この本では、亀有、浅草、上野、隅田川近辺、神田といった『こち亀』に登場する地域を、まるで作者自身がテレビのロケ番組で歩き回っているようにあちこちの様子を紹介していきます。
テレビ画面はない代わりに『こち亀』作中の絵(各話の表紙などに使われる一枚絵が多い)が用いられるので、いよいよ旅番組っぽいと感じます。そのようにして思い出を辿りながら東京下町を紹介してくれるだけで楽しいのです。
もちろん作品としてのメイキング、裏話、アイディア出しやお話作りの過程がかたられるので、その点でも価値があります。


【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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