メタに目を向ける
私ほか、榎本事務所の講師が担当する授業では作品を作ってもらうにあたって以下のようなポイントも意識してみよう、と話すことがあります。作品外の事情、メタ的な事情というやつですね。
1:読者ターゲットは?
2:どんな場所で発表するつもり?
3:どんな印象を与えたいのか?
何のためにこれらを考えるのでしょうか。それは「誰に向けて作るのか、どこに発表するのか」が決まっていると、それらのターゲットの好みに合わせて作品を作ることができ、有利になるからです。
調査のいろは
では、具体的にどんなふうに調べて、考えればいいのでしょうか。
たとえば小説の新人賞に送る作品であるなら、主催する出版社(レーベル)のこれまでの受賞者リストや、現在売れ筋になっている作品群が重要な手がかりになります。
その出版社がどんな作品を好むか、そしてまたどんな作品をライバルとしなければいけないかを考えるヒントになるからです。たとえば、既存のヒット作品と似たようでいて、しかし何か大きな違いがある作品が好まれやすいという傾向があります。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。