No.55 「アフロディーテ ―愛多き女神」

榎本海月の連載

泡から生まれた愛の女神

ギリシャ神話のアフロディーテ(ローマ神話ではビーナス、あるいはウェヌス)は愛、美、豊穣を司る女神だ。ゼウスの娘とするのが一般的だが、「クロノスがウラノスの性器を切り取ったとき、その周囲にできた泡から生まれた」などという話もある。
ともあれ、泡から生まれた彼女は風に運ばれた先で土地の女神に服を着せられ(有名な絵画「ヴィーナスの誕生」はこのときのことを描いたものだ)、神々に仲間として迎えられた。オリュンポスにおいては鍛冶の神ヘファイストスを夫としたが、前回も紹介したアレスを始め、数々の神々及び人間と恋愛をし、また子も設けている。アレストの間にもうけた愛の神エロスなどは彼女の子として特に有名なうちのひとりであろう。
彼女の美と愛はさまざまな神々や人々をひきつけ、色々な事件のきっかけ、創作の題材になった。先に紹介した「ヴィーナスの誕生」もそうだし、彫像「ミロのヴィーナス」などもそうだ。
ローマ神話の女神ヴィーナスとしては、「彼女の子であるトロイアの英雄アイネイアスの末裔がローマを築いた」という話になり、アレスと並んでローマ人の祖として崇められた。

物語を動かす神

積極的かつ多情な愛の女神は物語をドライブさせていく要素として非常に使いやすそうだ。彼女を巡った争いを簡単に起こせるし、また男の神あるいは人間を誘惑して普段やらないようなことをさせることもできるだろう。いろいろな人とコネがあるから情報源としても使える。


【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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