No.25 「プラトン」

榎本海月の連載

イデアを見出した大哲学者

プラトンは古代ギリシャの哲学者だ。ソクラテスに学び、「哲学」を学問として作り上げたとされる。
アテナイ(アテネ)の名門一族に生まれたプラトンは若き日に政治の道を志し、また学者として大成した後もシチリア島・シラクサの王に協力していた時期がある。しかしどちらかもうまくいかなかった。彼の名を後世に残したのは「イデア」(時間経過に左右されない永遠にして不変な、物事の本質とでもいうべきもの)に代表される哲学的な概念の発見・主張であり、また学園(アカデメイア)に優れた若者たちを集めて教育を施したことである。
ただ、プラトンにはもう一点、現代人の感覚で見ると面白い部分がある。彼は大学者であると同時に優れたスポーツマンであり、レスリングの名手であったのだ。ただ、これが「面白い」と思えるのは現代人の感覚であって、少なくとも彼や師・ソクラテスの時代の古代ギリシャでは頭脳と同時に身体能力を鍛えるのは当然であったらしい。プラトンの学園でも、運動場がしっかり整備されていたという。
プラトンの時代の後、運動を学ぶのは当然のことではなくなるが、それは都市国家の市民が兵士として戦う義務を負わなくなり、専業兵士の仕事になっていたことの影響であると考えられている。つまり、少なくともプラトンの時代まで、いざとなれば戦うために体を鍛えるのは一人前の男の条件であったわけだ。

ネタ元になる人

プラトンの哲学およびそこに出てくる言葉は、神話や伝説に出てくるさまざまなキーワードと同じようにエンタメにおける「ネタ」としてしばしば使われている。物語の中で不思議な現象を命名したい、理屈つけたいと考えた時に、まずは辞典レベルからプラトンの哲学に触れてみても面白い。
その代表格の一つが「アトランティス」だ。実はこの伝説の大陸はプラトンが本の中に記している(伝聞としているが、実際は彼が自分の哲学を伝えるために創作あるいは脚色した物語ではないかと考えられる)ものなのだ。


【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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