No.20 「ロビン・フッド」

榎本海月の連載

多彩な伝説を持つ男

ロビン・フッドは中世イギリスで活躍した、と伝説が語るアウトロー・ヒーローである。12世紀、リチャード1世の時代にシャーウッドの森という場所を拠点にし、代官や僧侶といった金持ち・権力者と戦って庶民を守った義賊なのだ、と物語は語る。
この時代、森で勝手に狩りをすることは禁止されており、またイギリスはノルマン人に征服されて従来のサクソン人やデーン人は虐げられていた。ロビンは禁じられていた狩りを行い、またノルマン人貴族とも戦い……と当時の人々の鬱憤を反映したかのようなキャラクターであったわけだ。
さらにロビンは一人ではなかった、と伝説は続ける。力持ちのリトル・ジョン、陽気なタック修道士、ロビンの恋人マリアン、赤い服を着た剣士ウィル・スカーレットといった人々だ。多様な個性を持ったアウトロー・グループが活躍するのは物語の定番中の定番であるが、ロビンと仲間たちはその元祖的存在であると考えていいだろう。
ロビン・フッド伝説は実に多様に語られており、さまざまなバージョン違いがある。たとえば、恋人のマリアンは後世の作品になると活発で、剣を用いるようになっていくという。さらにロビン自身は、同時代の英雄である獅子心王リチャード1世の物語に登場し、彼を助ける役目もしばしば担うことになる。また、「ロビンはもともと伯爵位を持つ貴族だったがその地位を失い、義賊になった」というパターンも有名だ。

アウトロー・チーム

ロビンの物語から学ぶべきは、やはり「尖った個性のキャラクターを組み合わせた物語は面白い!」ということだろう。できることがひとりひとり違えばバランスよく活躍できるし、意見やポリシーの対立と融和は物語を動かしていく力になる。タック修道士のようなコミカルなキャラクターが居ると物語の重さを緩和することもできる。
では、どんなキャラクターを組み合わせるとよいだろうか。それは自身の試行錯誤でバランスを見極めるべきだ。


【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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