No.2 「始皇帝」

榎本海月の連載

最初の皇帝

古代中国における秦国の王で、最初に皇帝になったとされる人物。始皇帝は諡で、正式な号は皇帝になる。
紀元前の中国は七国、通称「七雄」の秦、韓、魏、楚、燕、斉、趙が存在する戦国時代であった。始皇帝はそのうちの秦の荘襄王の子として生まれた(一説にはパトロン、大商人の呂不韋(りょふい)の子であるとも)。 
父の後を継ぎ、十三歳で秦王になると、用水路を整備して耕地を確保して国政を安定。軍功ある者に褒美を与える信賞必罰の制度、遠交近攻の外交政策が功を奏した。七雄の国々を滅ぼしていき、紀元前二二一年に国家を統一した。自身は、国家の盟主として「皇帝」の称号を作り、前二一〇年まで在位した。
即位後は、外民族の侵入に備えて作らせた「万里の長城」、「麗山(りざん)」と名付けた陵(墓。始皇帝は生前に作った)の建設によって民を酷使。儒家思想は「封建」の復古を願うものとして弾圧し、四六〇余人の儒家を生き埋めにするなど悪政が目立つ。
前二一〇年に始皇帝が病没し、愛息・胡亥(こがい)が即位するも、前皇帝への不満とさらなる悪政によって秦帝国は崩壊に至った。しかし、その後も皇帝支配体制は続き、一九一一年の辛亥革命に至るまでおよそ二〇〇〇年も続いた。彼はその創設者として、歴史上の重要人物である。

偉大な英雄もやがて……

戦乱を終わらせ、全く新しい国家を作り上げた人物としても、当然始皇帝は魅力的である。それだけでなく、不老不死を夢見て海へ人を送って伝説の島「蓬莱」を探すなど、オカルチックな面に注目しても面白い。天下に並ぶものなき皇帝になれば、あとは不死しか目指すことがない……というのはなるほど納得できる。乱世を終わらせた後は悪政が多いと評価されたことも含め、「偉大な英雄のその後」の参考になるだろう。


【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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