豆味噌
専門学校日本マンガ芸術学院の研修でよく行く場所の一つに、岡崎があります。名古屋から足を伸ばせばすぐ行ける場所なのですが、徳川家康の出身地として歴史的に重要な場所であるとともに、特産品の八丁味噌でもよく知られていますね。面白い場所なので、2年に1度くらいは訪れてきました。
豆から作る豆味噌の中でも代表格である八丁味噌は、岡崎市八帖町の特産品です。私も豆味噌(赤味噌)を食べるようになったのは名古屋に来てからなのですが、独特の味(私の舌にはちょっと酸味が感じられます)で好きになりました。名古屋だとちょっとした定食についてくるお味噌汁が豆味噌だったり、スーパーに売っているインスタントの味噌汁が豆味噌だったりするのです。
八丁味噌の風景
いま、岡崎で八丁味噌を作っているのは「カクキュー」さんと「まるや八丁味噌」さんの2社。見学に行ったことがあるのはカクキューさんで、巨大な蔵に見上げるような樽があって、その上に石がいくつも置かれて中では味噌が熟成されていて……というなんとも独特の光景をよく覚えています。
健康のための栄養バランスに優れているとされる豆味噌は「家康の健康の源だった」などという話もあります。また、三河地方で作られる塩があったからこそ、大豆と塩で作る豆味噌が大量に生産できて、江戸時代には江戸へも船で送られて人気だった、などという話も。こういうその地域独特の、歴史と風土があるから生まれた特産品を見て回るのも面白いですよ。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。