「萌えの町」というけれど
三大聖地をめぐるサブカルツアー、最後はいよいよ秋葉原にやってまいりました。
「アニメ・漫画と言えば」あるいは「萌えの町」といえば秋葉原……というのは2000年代の頃でしょうか。しかしその前から秋葉原の歴史はあったのです。
繁栄の始まりは明治の終わりから大正にかけてのことです。この時期、秋葉原地域は物流の中心地になりました。神田川ほかの川の流れと、上野駅からの鉄道の流れが繋がって、モノと人が集まる場所になったのです。青物市場も大いに賑わいましたが、今は「秋葉原クロスフィールド」になっています。
戦後は闇市で大いに人が集まりました。その目玉になったのがラジオ他の電気製品で、これがアメリカ軍によってガード下にごちゃっと集められました。その中から巨大な電気店も現れ、70年代までに秋葉原は「電気街」になりました。
ちなみに日本三大電気街といえば東京の秋葉原、大阪の日本橋、そして名古屋の大須だそうですが、2010年代になって名古屋にやってきた私には、あんまり大須に電気街のイメージはありません。これは今の秋葉原もそれに近く、電気街だった面影は今では結構廃れてきています。
代わりになにが……というと、各種文化が集まってくるのです。60年代から80年代には音楽関係が、90年代には電子ゲーム・パソコンが、00年代以降にはメイドとアイドルがやってきて、秋葉原の主役になりました。もちろん電気街の顔も失われたわけではなく、00年代から10年代にかけては「中国人が炊飯器買いにくる街」といえました。
変わっていく町
かつての秋葉原は雑然とした街でしたが、今はすっかり綺麗です。たとえば、昔は駅前の広場のバスケットコートがある種の名物でした。ご飯を食べられる場所が少なかったからおでん缶が名物でした。しかし、これらは今の小綺麗でご飯屋さんもたくさんある秋葉原からは想像できません。今後はどうなるでしょうか?

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。