修旅行の行き先は……
今年は諸々あって残念でしたが、ニチマでは年に1回研修旅行を行っています。一年生は東京へ、二年生は海外へ。わたしは東京に1回、海外(その年はシンガポールでした)に2回、同行したことがあります。その時の思い出もこの連載で出していきたいと思います。
今回は東京研修の時の思い出を。東京研修で訪れる場所は毎年、そしてまたコースによっても違うのですが、NCでは場所を選定するにあたって「業界に触れられるところ」「創作の刺激になるところ」をポイントとして掲げています。そのため、何度か我ら榎本事務所にも来ていただいて、普段どんなふうに働いているのかみていただいたことがあります……が、それはさておき。
そんなNC一年生一行が毎年行く定番ポイントの一つが「国立国会図書館」です。永田町にあり、日本中の本が集まると言ってもあまり過言ではない巨大図書館ですね。図書館として活用するのはもちろんのこと、その特殊性から見学も受け入れてくださっています。
見学では普段見られない巨大書庫(国立国会図書館は蔵書の多くを閉架といって、開放されていない書庫に置いています)を見せていただいて、それ自体も大変面白いものでした。
書物の殿堂!
……ただ、私のような職業のものにとって、そしてまた本ブログを読んでくださっているみなさんのようなクリエイター志望者たちにとって。国立国会図書館は「見て回って面白い」だけの場所ではないですよね。実用のための場所であり、なんとなれば「働くための場所だ」なんて人もコロナ禍前にはいたかもしれません。
それだけの書籍・資料が国立国会図書館には満ち満ちているのです! 他の図書館には全然なくて、あるのはいくつかの大学図書館と国立国会図書館だけ、などという資料はザラにあるのであります。
私は名古屋に住んでもうずいぶんになりますからなかなか行けませんが、当時引率していた生徒さんたちの見学が終わって自由行動になったあとは、国立国会図書館でしっかり調べ物をさせていただきました。
この図書館は資料の手に入れ方がちょっと独特(専用のパソコンで申し込みをする。カウンターに届くまで結構時間がかかる)なので慣れるまでは少し苦労するかもしれませんが、最近はちょっと古めの本なら多くがデータ化されているのでストレスも低減されています。創作のための調べ物をしたい時、東京や近郊の人は最後の切り札として覚えておいてもいいでしょう。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。