建物が主役!?
昨日紹介した犬山城のあと、ニチマのバスハイク一行が向かったのは同じ犬山市内の明治村です。名古屋のテーマパークとして有名なので、聞いたことのある人も多いかもしれませんね。明治時代の建築物を全国(どころかアメリカからも!)から移築してきた、非常に広大なテーマパークです。ちょっと前まで『鬼滅の刃』のイベントをやっていたのですが、残念ながら私たちが訪れたときには終わっていました。
明治村は建物が主役のテーマパークと言ってしまっていいでしょう。洋風建築が取り入れられたばかりの明治時代を彩った豪壮な石造りの建築物が立ち並ぶ……かと思いきや、木製の昔ながらの日本家屋を漆喰で塗って西洋風の飾りをつけた建物もあったりして、明治という時代が混沌の中にあったのだなあ、と忍ばせてくれたのが楽しかったです。
こういう歴史系テーマパークの面白さは、その時代の雑踏の中にいるような気持ちになって空想の翼を広げることにある、と思うのですがいかがでしょう。明治村はあちこちにベンチがあって、のんびりするのに向いているのがその点でもよかったですね。また、わたしは移築された学校の教室(階段式で結構急角度でした!)で一休み……しつつ、タブレットPCを取り出してちょっと仕事をやったりも。
「当時を思わせる」といえば、よかったのが明治村内部で走っているバスです。小さなバスなのですが、乗ってみると内装がいかにも明治。質素な木製の椅子の座り心地も悪くなく、ゆっくり進むバスに乗りながらやっぱり当時を思っていたのです。
物思いにふける
園内は非常に広いので、隅々まで楽しもうと思ったら丸一日がかりになりそうです。歩き詰めになって足が痛くなるのが嫌なら、バスも併用するのが良いですね。
でも、明治村の楽しみは「全部回るぞ!」みたいな現代的であくせくとしたものではなく、気に入った建物に入って椅子やベンチに座り、空気や匂いを感じながら物思いにふけることではないかと思うのです。そのようにしているうちに、あなたの中から架空のキャラクターたちが立ち上がって、それぞれの物語を語ってくれることもありましょう……。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。