No.10 『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』

榎本海月の連載

『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』(メディアファクトリー、4巻続刊、 2015〜)
初出:ブログ「北欧女子が見つけた日本の不思議」(2014〜)

ブログ発コミックエッセイ

本書はいわゆるブログ発コミックエッセイの一種である。このようなタイプの作品は切り口、あるいは作者自身のキャラクター性が大事なのだが、本書の場合は「北欧からやってきた女性漫画家」という点が非常な強みになっている。
著者にして主人公であるオーサはスウェーデン人だ。13歳の時、彼女は自分の運命を変えるものと出会った。「アニメ」だ。『美少女戦士セーラームーン』であったらしい。それまで見たことのあるアメリカ製の「アニメ」とは全く違う映像と物語に衝撃を受けた彼女は、以後日本のアニメと漫画を追いかけることになる。……実際、『セーラームーン』で目覚めた海外の日本オタクは多いらしい。
スウェーデンで漫画家としてデビューする一方、たびたび来日もしていた。日本語を学び、日本にも親しんだ結果、ついに日本へ移住。その日本での生活をブログにコミックエッセイとしてアップすると大いに評判になり、自分の生い立ちや取材して見た日本のさまざまな事情なども取り込んで単行本化されたのが本シリーズである。

爽快な読み口

まず、単純にコミックエッセイとして面白い。オーサが独自の考え方をしっかり持ちつつ日本にも惹かれているという立場がはっきりしているので、読者も迷わずすっきり読み進められるのが良い。彼女は「ここはいい」「ここはよくない」とスパスパ切り分けていくので、日本人的に「どうなの?」と思うところでも爽やかなのだ。このようなキャラクター性はシンプルにキャラクター作りの参考になる。
オーサだけだと日本人としては戸惑うところだが、ルームメイトのヨーコをはじめとして日本人が数多く登場し、ちゃんと日本的な考え方も主張してくれるので読みやすいところもある。……ただ、オーサは結構サブカル的な人にも出会うので「その考えはどうなの」ともなるが、やはり参考になる。
そして何よりも、「外国人の目から見た日本」「スウェーデンと似ているところ、似ていないところ」をズバズバ提示してくれるので、盲点を発見できるのがよい。その点でもテンポの良さがあるのが本作の見どころであろう。

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『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』 honto 紀伊國屋書店


【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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