No.5 服部昇大『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』

榎本海月の連載

服部昇大『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』(ホーム社、4巻刊行中、2018〜)
初出:ウェブサイト「スピネル」(2017年〜)

切り口と語り口が面白い!

高校で「映画について語る若人の会」を立ち上げた部長のもとに、一人の女子高生が訪れる。彼女の名前は邦吉映子。邦画が何よりも好きな女子高生、通称「邦キチ」である。
映画好きではあるがわりと世間の意見に流されがち、カッコつけがちな部長に対して、映子はさすがすごいあだ名がつくだけあって語る映画のチョイスも切り口もすごい。どちらかというと評価されにくい邦画のちょっとおかしな作品、漫画などの実写化作品についても、予想もできない語りでなんだか面白そう、興味を持てそうに語ってしまうのだ。
基本的に一話について一作、映子が語るというスタイルになっているが、時に映子以外のキャラクターがプレゼンすることもある。
個人的には『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』の回において、「仮面ライダー映画なのになぜか暴れん坊将軍が出てくる(いくら同じ東映制作だからといって!)」というこの作品の定番ポイントを語るだけでなく、「スピーディーな特撮演技の中で、松平健の演技だけが時代劇風の重厚な演技である」というところに注目してくれたのが嬉しかった。

映画への入り口として

なぜ、このシリーズを紹介するのか。単純に漫画として面白い(特に映子と部長の小気味いいやりとりが魅力だ)のもあるが、それだけではない。
一つは、この作品を入り口にして映画に興味を持ってもらえたら嬉しい、いうことだ。もちろん漫画もたくさん読んで欲しいが、映画を見ることにも意味がある。バリエーション豊かに様々なエンタメを摂取するのが一番いいからだ。その点、ちょっとマニアックな作品を奇想天外な切り口で紹介してくれる本シリーズは入り口としてピッタリである。
そしてもう一つ。紹介されている邦画を実際に見て、考えて欲しいのだ。あなたは映子と同じポイントが気になっただろうか? 実はもっと別のところに興味が惹かれたり印象に残ったのではないか? また、映子が紹介したポイントについても、別の感想を持ったのではないか?
それは実際いいことだ。その感想があなたの感想であり、個性の萌芽だ。そこから自分の作品の武器も芽生えるのだから。自分なりの感想をはっきりさせるためにも、まずは本シリーズから触れてみてはいいかがだろうか。

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『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』 honto 紀伊國屋書店


【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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