第43回「風呂③湯治の話」

ファンタジーを書くために過去の暮らしを知ろう!

治療のための風呂

前々回・前回とこの連載では風呂の「いま」「むかし」を紹介してきた。そこで最後にちょっと番外編的な内容として、治療のための特別な風呂……すなわち温泉による湯治を紹介したい。なお、湯治という言葉は、「湯」は薬湯、「治」は治療を意味する。
日本では伝統的に入浴による治療が行われてきた。温泉やサウナで身体を温め汗を流すこと、また薬効成分のある温泉、また薬草類を入れ込んだ薬湯に入ることで傷を癒し、病を治療するわけだ。日本各地に「動物が浸かっていた」「高僧や仏にまつわる逸話がある」などの温泉があり、古来より人々に愛されてきた。戦国武将……特に武田信玄にまつわる温泉も多い。
また、農閑期になると小さな湯治場に農民の家族がやってきて、自炊などしながら身体を養ったという。しかし、現代において温泉地はそのほとんどが観光地かし、昔ながらの湯治場は姿を消した。もちろん、「いま」の観光地的な温泉地にも、温泉の効果を求めて多様な観光客がやってくる。温泉ごとに湯の質が違い、効果も変わるという。

飲む温泉

西洋ではどうか。温泉治療は残っているが、そのあり方は日本のそれとは大きく違う。
まず、「入る」よりは「飲む」方が重視される。これは成分と温度による違いだ(日本でも温泉を飲んだり、料理の材料に用いたりはする)。
また、観光地的な温泉街もなかったわけではないが「いま」は少なく、ヨーロッパの温泉地といえば病院、保養のための場所、温泉を用いた治療の研究所などであって、「治療」の側面が強いようだ。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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