第41回「風呂①日本の話」

ファンタジーを書くために過去の暮らしを知ろう!

二種類の風呂

皆さん、お風呂は好きだろうか? 好きな人も苦手な人もいるだろう。家風呂に思い入れはないが温泉は大好きという人もいれば、一日の疲れを家風呂で落とすのだけが楽しみなんて人もいるかもしれない。この風呂もまた、「いま」と「むかし」で大きく違った。まず今回は日本における風呂の変化を見てみよう。
風呂は大きく分けて2つある。ひとつは湯船に満たしたお湯に体をつける温湯浴で、もうひとつは部屋に満たした蒸気で体を蒸す蒸気浴だ。「いま」日本で風呂といえば前者だ。後者は「サウナ」と呼ばれ、銭湯やスポーツジムなどでしばしば見受けられるし、愛好者も沢山いて近年ではブームになっている。サウナの交代浴をしていると大変気持ち良くなって「整う」などと呼ぶのを知っている人も多いだろう。
そして実は「むかし」、風呂と呼ばれていたのは後者、いわゆるサウナの方だったのだ。上記を満たす部屋「室(むろ)」がなまったものではないかと考えられている。湯を満たす風呂の方はその建物を「湯屋」などと呼んで区別した。この両者がそれぞれ別のものとして用いられてきたのが、江戸時代後半になると湯の方が主流になり、これを指して「風呂」と呼ぶようになったのだ。

風呂と習慣

習慣の面でも違いは多い。家に風呂を持つようになったのは本当にごく最近のことで、近所の銭湯に通う習慣が長く残った。しかし近年では住宅地の小規模な銭湯はその多くが姿を消し、「いま」銭湯はかなりの部分で「スーパー銭湯」と呼ばれる大型入浴施設になっている。多様な風呂やサウナ、各種エンタメもあって、レジャー施設になっている所が多い。
江戸時代の風呂習慣にも面白いものがある。たとえば、江戸時代前半までには入浴のためにそれ用の下帯・腰巻を持ってきて入り、洗って持ち帰る習慣があった。また、江戸時代までは混浴がごく当たり前にあり、蒸気や熱を逃さぬよう薄暗かったこともあって、しばしばしばいかがわしい行為も行われた。幕末の改革で禁止されたこともあったようだが浸透せず、混浴が消えていくのは明治時代以降のことである。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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