第39回「恐竜イメージの「いま」「むかし」」

ファンタジーを書くために過去の暮らしを知ろう!

ゴジラ的な恐竜

今回はちょっと毛色を変えて、千年百年単位の「いま」「むかし」ではなく、ここ数十年の「いま」「むかし」を紹介したい。もちろんこの期間に多くのものが変わったのだけれど、そのなかでも「え、そうなの?」と思う人が多いであろう物事だ。それは「恐竜のイメージ」である。そう、実は恐竜のイメージはここしばらくで激変しているのだ。
皆さんは恐竜というとどんな姿をしていると思っているだろうか。本コラムの筆者は1980年代の生まれなので、幼少期に図鑑を見たりテレビを見たりしたイメージからこう答える。曰く、二足歩行で直立し、のしのしと重々しく動く。皮膚は爬虫類を連想させるもの……と。こう言うイメージを持つ人は年配層に多いはず。ゴジラは恐竜そのものではない(ゴジラザウルスという恐竜が変化したものという設定がよく知られている)が、ゴジラ的な存在というイメージを強く持つ人は多いだろう。

新時代の恐竜

ところが、本コラムを読んでおられる若い層はこのようなイメージに驚かれるのではないか。
近年の恐竜はゴジラ的に直立してのしのし歩くのではなく、むしろ頭と尻尾が地面と並行にピンと伸び、機敏に歩く。
そしてそれよりももっと驚くであろうものが皮膚だ。なんと、近年の恐竜イメージでは羽毛を持った恐竜が多くいた、と考えられているのである。これは1990年になって羽毛の残った化石が発見されたことから近年主流になっている考え方で、必然的に恐竜と鳥類のつながりもむかし考えられていたよりもはるかに強い結びつきであったのだろう、と考えられるようになっているのだ。また、恐竜の皮膚の色についても研究が進んでおり、復元予想図もかつてのような地味な色ではなく、カラフルな色で描かれるようになっている。
このように「いま」「むかし」の差は研究が進むにつれてさらに開き、昔の常識だと信じられないような発見がなされるようになっているのだ。是非、アンテナを掲げる努力を忘れないでいてほしい。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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