恐竜から人間に?
人間+何か、というスタイルで作られた異種族は色々な物語で見ることができる。特に耳だけ動物(それも、人間の耳は別にあって、カチューシャの飾りのように頭の上から耳が生えているタイプが多い)のキャラクターは「ケモミミ」などと呼ばれて人気が高い。
しかしその中で、爬虫類……蛇や蜥蜴の性質を持ったキャラクターは別に扱われることがしばしばある。つまり、彼らは人間と同じように進化して獣の性質が混ざったのではなく、そもそも恐竜のような古代の爬虫類的存在が進化したのでは……という設定で描かれやすいのだ。何故そうなるかといえば、それは太古の時代に恐竜こそがこの地球の主人であったからに他ならない。
恐竜絶滅の原因は現時点では確定していないが、おそらくは巨大隕石の衝突による環境の激変に耐えられなかったのだろう、と考えられている。しかし、それを耐え抜いた恐竜が居たとしたら? 彼らは地下に潜ったり、気象変化の影響を受けなかったお口に籠ったり、あるいは宇宙人や神によって救い出され、何千年何億年を過ごすうちに偶然(であるかは設定による)私たち人類と同じような姿に進化した。それが恐竜人である……いや、あるいは恐竜の時代、もしくは原始人類の時代にも恐竜人はいて、覇権を争っていたのかもしれない。
秘められた謎?
このような恐竜人の発想はオカルチックな思想だけでなく、エンタメ世界にも時折登場する。
彼らは恐竜に由来する強力なパワーはもちろん、何千年何万年と積み上げてきた陰謀や、超古代から受け継いだ不可思議な技術やアイテムを受け継いでいる。生き残った恐竜を操ることさえあるかもしれない。
一方、恐竜の、つまり爬虫類的な性質も受け継いでいるはずだ。寒くなると冬眠する、などである。近年の研究では恐竜と鳥類の関係が重視されているので、羽毛など鳥的な特徴を強調してもいいかもしれない。


【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。