◆24回「宇宙飛行士」

榎本海月の物語づくりのための黄金パターン キャラクター編+α

遠い未来の宇宙飛行士

宇宙飛行士というとき、そこには大きく分けて二つの意味がある。
一つ、遠い未来に人類が宇宙へ進出したとき、宇宙飛行士というのは「宇宙船を操縦し、あるいは航行のためのさまざまな仕事をする人」という意味になっているはずだ。
形としては現代における船乗りとほぼ同じ存在になるだろう。このとき、宇宙飛行士は決して特別な仕事ではなく、訓練さえすれば誰でもできる仕事だ。ただ、宇宙船による移動は時に年単位がかかるため、おおむねコールドスリープしつつ定期的に何人かが交代で起きて船を操作する、のような特殊な勤務体系もあるかもしれない。

今現在の宇宙飛行士

しかし、少なくとも現代において、宇宙飛行士はそのような一般的な職業にはなっていない。現代の宇宙飛行士は肉体・精神・技術・知識を兼ね備えたエリートしかなれない。特に理系方面エリートの到達点こそが宇宙飛行士と言っていいだろう。
なぜそうなるかといえば、宇宙に人を送り込むのがまだまだ難しく、大変なコストがかかるからだ。ガガーリンの時代から数十年、今では定期的に宇宙へ人を送り込み、宇宙ステーションにおいて宇宙でしかできない実験や観測が行われてはいるものの、その枠は多くない。また、発射の時にかかる重力が負担だったり、宇宙は危険が満ちていたりするため、体力や咄嗟の判断力はどうしても必要になる。初期の宇宙飛行士がしばしば軍のテストパイロットから選ばれたのはまさにこのためだ。
また、精神面での安定性も彼らには求められる。孤立した状況で任務することになり、かつ長い間宇宙で活動することが多いからだ。自分がパニックにならず、また他人もパニックにさせない協調性がなければ、宇宙飛行士に役目は果たせない。
一方、現代の宇宙飛行士はそのような生存能力だけを求められるわけではない。宇宙でそれぞれの仕事を果たすことが求められ、職業としても細分化される。つまり、船外活動や機械の操作がメインのMS(ミッションスペシャリスト)、船内での実験がメインのPS(ペイロードスペシャリスト)、宇宙船や宇宙ステーションを動かす船長という具合である。
彼らは人類の最前線を開拓するチャレンジャーであるから、単にその人生や宇宙で起きる事件を描くだけでも十分に物語になりうる。一方でオカルチックな事件、SF的な事件に遭遇することもあるだろう。宇宙で神秘的な現象に出会うことは実際にあるようだからだ。それは多く錯覚であろうと考えられるが、もし本当なら……?

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【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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