◆16回「何でも屋」

榎本海月の物語づくりのための黄金パターン キャラクター編+α

なんでもやります!

 何でも屋、便利屋、万屋。呼び名は多様だが、つまり「なんでもやる」ことを看板に掲げたサービス業についている人のことである。
 実際に請け負う仕事はその店により様々だが、掃除や家屋の修理・庭仕事のような力仕事、犬の散歩や留守番のような雑用、害虫駆除や盗聴器調査のような特殊技術が必要な作業、などがよくみられるようだ。これがファンタジックな世界であれば探偵に求められるような調査や、警察・自警団的な暴力沙汰などが持ち込まれることもあろう。
 仕事の中身を見る限り、現代において街のあちこちに何でも屋の看板を見るようになったのは、多分に高齢化社会や核家族化、コミュニティの衰退と関係があると考えていいだろう。かつてであれば体力や知識・技術のある家族、友人、ご近所、親族などに頼めた作業が、頼める相手がいなくなってしまったため、お金を払って何でも屋に頼むしか無くなってしまったわけである。あるいは、お金とは違う代償で請け負う何でも屋もいるかもしれないが、それはそれで物語のネタになりそうだ。

何でも屋と物語

 何でも屋の日常をそのまま描くだけでは物語のネタにはならない……と思うかもしれない。しかし、すでに触れた通り、何でも屋の仕事は本来なら身近な人が請け負うはずの仕事だったのだ。ということは、何でも屋は本来なら家族などでなければ知らないような秘密や真実、もう一つの顔に接近する可能性がある。普通の人が隠した尋常でない秘密に触れてしまって……というのはいかにもありそうな展開ではないか。
 そしてもうひとつ、普通でない仕事を持ち込まれる、というのも何でも屋ならではの展開も十分あり得る。「何でも受けるんだろう」と言って犯罪すれすれ、あるいは犯罪そのものの依頼を持ち込む人もいるかもしれない。とんでもない陰謀に巻き込まれることもあるかもしれない。自分の身を守るため、潔白を示すため、奔走するさまは物語になる。

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【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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