◆10回「介護職」

榎本海月の物語づくりのための黄金パターン キャラクター編+α

社会に求められる職業

私たちは死ぬまで自由に体を動かし、生きていける……とは限らない。それまで健康だった人が、老化や病気、怪我によって体が不自由になる。あるいは、そもそも生まれつきの障害によって思いのままには動けない。そのような場合、誰かがこれをサポートしなければならない。つまり介護だ。
かつてはこの役目を行うのは家族であることが多かった。大家族において、家族が分担して老齢のものを介護してきたわけだ。そのような介護者がいない場合は、国家や寺院が開いた病院のような場所で介護を受けるか、そうでなければ野垂れ死ぬことになる。「姥捨山」の話はただの噂ではないのだ。
しかし、現代では核家族化が進んで家族による介護は難しく、一方で野垂死にを許すわけにはいかない。結果、専門の介護職が老人ホームに代表されるような社会福祉施設で介護をすることになった。国家資格としては「介護福祉士」という。

物語と介護職

超高齢社会となった現代日本では、老人がそうであるように、その相手をする介護職もまたごく普通に世の中にいて、日常を描いたり、事件に巻き込まれたりする可能性がある。
そして介護職の場合、別のポイントもある。労働環境がしばしば過酷である、ということだ。なにしろ彼らの仕事のかなりの部分は入浴をさせたり、排泄をさせたりなど他者の体を動かす必要があり、これが相当の重労働になる。それでいて介護職の賃金は決して高いとはいえず、しかもちょっとしたことから死亡事故が発生する可能性があるなど責任が重い。
実際近年では介護時の死亡事故について介護職の責任を求めて裁判を起こすようなケースも出て介護の手法が制限されたりもしている。「これは割に合わない」と考える介護職が出てくるのは当然であろう。
この問題は今後さらに増えていくであろう日本社会の最前線にある話題だから、物語の種としては非常に面白いといえよう。

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【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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