◆8回「魔法少女」

榎本海月の物語づくりのための黄金パターン キャラクター編+α

魔法少女とは?

魔法少女(魔女っ子)。それはアニメや漫画など、日本のフィクションに特徴的なキャラクターである。西洋的な魔法使いや魔女のイメージを少なからず引き継いでいるところもあるが、基本的には別物となっていると考えるべきだろう。また、『セーラームーン』や『プリキュア』シリーズのようなガールヒーローものとの距離は非常に近く、しばしば同一視される。
魔法少女とは文字通り「魔法を使う少女」である。血筋で使えるのかもしれないし、何かしらの修行や勉強を行ったのかもしれないし、魔法使いがごく普通にいる世界からやってきたのかもしれない。不思議なアイテムや後述するマスコットとの出会い、そして契約を経て魔法少女になる、というケースが特に近年多い。可愛らしいコスチュームもつきものだ。
男の向け作品のヒーローでよく見られるように、魔法少女もまたしばしばなんらかの使命や役目を与えられている。それらを解決し終わったら物語が終わる、あるいは次第に真相が明らかになる、というのが定番だ。ただ、その使命が敵とのバトルだけとは限らず、人助けだったり、人を救うことだったりすることがしばしばあるのだが、魔法「少女」のアイデンティティといってもいいだろうか。
そんな魔法少女を支えるマスコットキャラクターも、魔法少女ものの見どころであろう。彼あるいは彼女は魔法少女に力を与えたり、使命を授けたり、もしくは単に好き勝手行動して足を引っ張ったりする。

「実は」ネタとして

ここまで紹介してきた通り、魔法少女には比較的可愛く、優しく、平和的なイメージがつきがちだ。そしてだからこそ「実は」というどんでん返し的展開をする作品が非常に多いのが近年の魔法少女ものの特徴だ。
つまり、「魔法少女が力を使いすぎると魔女になって怪物化する」であるとか、「魔法少女という名前だがそもそも化け物である」であるとか、「魔法少女的キャラクターだが戦闘手段はガチの格闘や武術である」であるとかの作品群である。本来のイメージがあるからこそ、このようなギャップが効くわけだ。

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【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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