◆1回「老人」

榎本海月の物語づくりのための黄金パターン キャラクター編+α

積み重ねてきた人生の重み

人は生病老死の四苦から逃れられない、という。その一つが、生きていれば(死なない限り)必ず老いるということだ。若者もいつかは老人になる。
特に現代日本を舞台にするなら、老人は避けては通れない存在である。何しろこの超高度高齢社会、どこへ行っても老人はいるのだから!
老人は人生を積み重ねてきたキャラクターだ。だから、技術や知識について、しばしば若者を圧倒するものを持っていることが多い。他にも、師匠や援助者として最適なキャラクターと言って良いだろう。過去の事情を知っていたり、過去の事件を体験しているなど、真相を語ったり物語を新しいステージへ連れていく役目を果たすのにも適している。
もちろん、「生涯現役」的な老いてなおバリバリ活躍するキャラクターだってカッコいい。特に現代は平均寿命がグッと伸びて、かつてならとっくに引退していたような年齢であっても前線で活躍している老人が珍しくないのだ。

老化の悲しみと辛さ

ただ、そのようなかっこいい老人、いい老人は物語の中だけの存在だと考える人もいるかもしれない。それもまた無理はない。老いてかっこよく、正しく生きるのはなかなか大変なことだからだ。
まず、単純に肉体が老化し、脆くなる。ちょっとしたことで骨を折ったり、持病で行動に制限があったりという老人も多い。技術や知識は衰えないとっても、指先の感覚や記憶力が衰えていればかつてのような活躍は難しい。そもそも知っていることも古びていて、現代の最前線では活躍できない(しかし気持ちは以前と同じだから今に適応できないことを信じない、信じたくない)ということも珍しくはない。
肉体の変化は精神にも影響を与える。現代日本ではいわゆる「キレる老人」問題が語られるようになってきているが、老化の結果として思い込みが激しくなったり、視野が狭くなったり、というのもままあるケースだ。ここに若者への蔑視という精神面での価値観が重なったり、「定年退職した結果として自分が社会で必要とされているという自尊心が満たされなくなる」などの社会的事情が乗っかってきたりすると、いよいよ他者を責めてばかりの迷惑老人の出来上がりである。
このようなキャラクターは若者が乗り越えるべき敵役としても、日常の中で遭遇する迷惑な人としても、なかなか有能な存在であろう。

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【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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