長年指導をしていてよくあるケースが、講師に答えを求めることです。
書くのはあくまで小説家志望の皆さんなのですから、講師側に答えを求めてはいけません。
プロット合評会でも、他の人からの意見を咀嚼せずにそのまま採用している人がいました。
これはいけません。
というのも、自分の意見がないと次の作品を自分で書くことができないからです。
仮に、他人の意見を採用して書いた作品が読者の好評を得たとしましょう。
読者が「ここがよかった!」と言った部分がその意見の場所だったら、どう思うでしょうか?
素直に喜べませんよね。
逆に、他人の意見の箇所が非難されたらその人のせいにするでしょうか?
しかし、その意見を採用したのは小説家志望さんです。人のせいにするのはお門違いというもの。
どちらに転んだとしても成長が見込めません。
自分で考えて自分で決めたものが血肉となるのです。
そのため、当初は具体例込みで「こうしたらどうかな?」という助言をしていましたが、
最近はそういうことを一切やめ、プロットを長編を読み込み、
・足りないところ
・矛盾点
・伸ばしたらいいところ
を助言するようにしています。
答えは小説家志望者さんの中にしかないです。人からの講評はあくまで「意見」と意識しましょう。
榎本秋
榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。