好きでよく読んでいる作家さんに楡 周平さんがいます。
幅広く現代社会の問題点を扱い、解決策も提示します(ここ重要)。
小説としてエンターティメントで読ませてくれるのでいつもワクワクして読んでいます。
そんな楡周平さんの中でもおすすめなのが、現実でも社会問題になっている宅配サービスを扱った作品群です。
『再生巨流』
『ラスト ワン マイル』
『ドッグファイト』
の3冊になります。
話の骨子は乱暴に言ってしまうと、どれも宅配会社の主人公が新たなビジネスチャンスを導き出すために奮闘するといったものです。
それぞれ、時代が少しずつずれているので戦う相手は違うのですが
『ラスト ワン マイル』『ドッグファイト』の2冊は敵のモチーフが明らかです。
宅配サービスは最近よくニュースで取りざたされて「大変だ」ということはわかっているものの、
具体的な実態やその中で働いている人たちが何を考えているかというのはあまり知られていないと思います。
この3冊を順に読んでいくと、宅配業界の問題点、強み、ITとの関係がよくわかります。
ちなみにクロネコヤマトの苦労話に関しては高杉良さんの『挑戦つきることなし』がおすすめ。
ビジネス小説として宅配業界を描くのは、取材も含めて大変です。
しかし、彼らの生き様を学び、物流の知識を増やすことは、現代を書く場合もファンタジーを書く場合も役に立ちます。
榎本秋
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『再生巨流』 honto 紀伊國屋書店
『ラスト ワン マイル』 honto 紀伊國屋書店
『ドッグファイト』 honto 紀伊國屋書店
榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。