5月に高橋英樹さん主演で放送された『再雇用警察官』。
定年後に再雇用された警察官を主人公にした物語です。
この再雇用とは
・給料は減りつつ
・仕事は同じ
・でも給料が上がったり、出世はできない
というその条件で、それをうまく使って物語にしているのが素晴らしかったです。
すでに原作は2巻まで出ているのですが、2巻目もこの 再雇用 の設定をうまく使えていると思いました。
また、この主人公、姪を育てているのと、親の介護で独身なんですよね。
そのあたりもうまく作品に反映されています。
これからの時代、以前多かったような再雇用で全然別の仕事というよりは、
今作のように同じ仕事でも給料は減るというケースが増えていくと思います。
そして、独身。
今いそうな定年男子で非常にリアリティもあります。
生涯独身でなくても、妻に先立たれたり、最近は熟年離婚の話題もよく聞きます。
これではあまり良いことがないように見えますが、同職の再雇用にはベテランという強みがあります。
つまり人脈があるのです。
今作はこの設定が物語に活きているんですよね。
作家志望の方の作品を拝見していると、折角の設定が物語に活きていないことが多いです。
原作は徳間文庫から発売中ですので、設定の部分を気にしながらお読みいただけると嬉しいです。
榎本秋
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榎本 秋(えのもと あき)
活字中毒の歴史好き。歴史小説とファンタジーとSFとライトノベルにどっぷりつかった青春時代を過ごし、書店員、出版社編集者を経て2007年に榎本事務所を設立。ライトノベル、時代小説、キャラ文芸のレーベル創刊に複数関わるとともに、エンタメジャンル全体や児童文学も含めて多数の新人賞の下読みや賞の運営に関わる。それらの経験をもとに、小説、ライトノベル、物語発想についてのノウハウ本を多数出版する。