選挙に勝つ!
国の方針を動かすのは政治だ。政治を扱うのは(特に日本では)政治家であり、議員だ。国民に選ばれて国会議員になり、国会で一票を投じることによって総理大臣が代わり、法律が決まり、政治が動く……いわゆる間接民主主義こそが、日本が採用している政治制度である。
国会議員は二種類いる。衆議院議員と参議院議員だ。どちらも同じ議員で、選挙で選ばれるのだが、衆議院の方が選挙の回数が多く、また重要な決定に関わることも多いので、比較的目立ちがちといっていいだろう。
どうしたら選挙に出られるのか。選挙が始まったら立候補すればいい。被選挙権があれば(日本では日本国民であること、衆議院なら満25歳以上で参議院なら満30歳以上であること)誰でも選挙に出られる。ただ、何かしらの問題を抱えていると被選挙権を停止されていることもある。
「三バン」
しかし、これは「誰でも選挙で当選できる」ことを意味しない。昔から言われているのは「地盤看板カバンの三バンが必要だ」である。
地盤はつまり以前からのその土地とのつながりがあるかどうかで、たとえば二世議員だったり、その土地の名士だったりするとすぐさま講演会が立ち上がったり、もともと知名度が高かったり、「あの人には昔世話になったから」で投票してくれる人がいたりして、当然選挙に強い。
看板は知名度のことだ。知られている人は当然強い。「誰に入れたらいいか分からないからテレビでよく見るあの人に入れよう」となるのは珍しいことではなく、タレント候補、スポーツマン候補が乱立するのはこのせいである。
カバンだけちょっとわかりにくいかもしれない。つまり「あなたのカバンにはどれだけお金が入っていますか」だ。選挙にはとにかく金がかかる。車を借りたり事務所を借りたりいろいろだ。しかも「供託金」といって、立候補時に一定金額を選挙管理委員会に預けなければいけない。
しかしこの三つが揃っているだけで選挙に出ても、あまりいい効果は得られないかもしれない。現代の政治家は、政党との関係が非常に重要だからだ……というわけで、次回へ続く。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。