第39回「学校の事情と生徒」

榎本海月の連載

試験・選抜・学校の目的

何らかの試験や資格によって選抜されてきた学生が集まってくる学校や、学費が高い学校などは、そのことが如実に学生の性質に現れる。ある程度の学力(やその背景になる財力)で選別された結果だから当然であろう。
たとえば、金持ちの子弟ばかりが集まってくる学校というのは割とあって、習い事の経験や特殊な生徒の比率、学生たちの話題などに現れている。
また、大学はいよいよ学校ごとに性質が大きく変わってくる。本来の意味である研究機関としての性質が強い大学もあれば、キャンパスライフを満喫する学生ばかりのところもあり、高校での学習どころから義務教育での学習さえも怪しい学生がちらほら見られる学校も、ある。
学力や財力以外にも、たとえば何らかのスポーツ選手を育成する学校には体育会系やそのスポーツが好きな生徒が集まりがちだし、アニメやゲームと関係が深い学校にはオタク系が集まりがちだ(近年はオタク系も随分幅広くなったので一概にはいえないのだが)。
そもそも、専門学校や何らかの特別な科で学んでいる学生は、そこで身につけたものの結果として独特な考え方や行動傾向を得ることも大いにあるだろう。運動系の学生は体を鍛えているし、怪我の対処もできることだろう。
これに匹敵するくらい体力があるのが農業や漁業について学ぶ学校の生徒たちだ。なにしろ、彼らの日々の学びは畑を耕すにせよ、家畜の世話をするにせよ、網を引くにせよ、船に乗るにせよ、体力を使うことばかりだからだ。

校風

あるいはもっと別方向で「校風」というものもある。同じような受験難易度の学校でも、真面目な進学校もあれば、非常にゆるい雰囲気の学校もあり、自由な学校もある。
……意外に思うかもしれないが、「ゆるい」学校と「自由」な学校は違う。前者はゆったりと好きなことをやる生徒が多いが、後者は非常に活発にイベントなどが多い、というイメージが私にはある。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。ネット小説創作入門』などがある。
2019年に新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』『日本神話と和風の創作事典』『ストーリー創作のためのアイデア・コンセプトアイデアの考え方』(秀和システム)を刊行。
2020年の新刊には『古代中国と中華風の創作事典』(秀和システム)がある。
PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。愛知県名古屋市の【専門学校日本マンガ芸術学院小説クリエイトコース】講師として長年創作指導の現場に関わっている。

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